2013年07月26日(金)

『たまゆら〜もあぐれっしぶ〜』
田坂秀将プロデューサーインタビュー
「半歩と半歩で一歩の成長になる」(後編)

取材日:2013年7月4日
取材場所:タバック
取材・構成:高瀬司

【前編はこちら】

もあぐれっしぶな新キャラクター

—— 第2期での視点の変化に伴い、演出や物語などの面でも変えられた点はあったのでしょうか。例えば1期では「懐かしさ」がキーワードとして語られていましたが。
田坂 作品の本質的なところは変わりません。「懐かしさ」は『もあぐれっしぶ』でも、重要なテーマのひとつですね。もちろん少し見え方が変わるところがあるかもしれませんが、それは1期から作風が変化したというよりは、新しい何かが追加されたことによって作品の奥行きが広がった、という捉え方が正しいのだろうと思います。
—— 2期における大きな追加要素と言えば、新キャラクターの三谷かなえ(CV:茅野愛衣)がいます。
田坂 かなえは、楓の写真部に入って一緒に頑張ってくれる女の子がほしいという佐藤監督からの要望で生まれたキャラクターです。かおるやのりえ、麻音はそれぞれ自分の夢があるので、彼女たちが写真部に入るというのは少し考えにくいですから、その意味でも新キャラクターが必要かなと。かなえに関する詳細は、今は楓たち4人の中に加わる2期からの新しいメインキャラクターというところまでにして、後は観てのお楽しみにということで。
—— もう1人、1期では名前しか出てこなかったともちゃん(CV:東山奈央)の姿がついに描かれました。非常にインパクトのあるキャラで、おそらく全視聴者の想像の斜め上を行っていたのではないかと思いますが(笑)。
田坂 衝撃的でしたよね(笑)。あのキャラの濃厚さは誰か1人の手によって作り出されたのではなくて、佐藤監督が「質問魔」という性格付けを、キャラクターデザインの飯塚晴子さんが「巨乳」という外見を、そして演じる東山奈央さんが「テンションの高さ」をと、それぞれが何かを足していったことでできあがったものなんです。言うなれば3人のコラボレーションが生んだキャラですね。
―― なるほど。ともちゃんについては、先日飯塚さんが「わたしの『もあぐれしっぶでのモアグレッシブ』は、新キャラにわりとお胸を盛った事です」なんてPOSTもされていましたが(笑)、では他方で、作品全体において最も「もあぐれっしぶ」に取り組まれたところというと、どういった点になるのでしょうか。2期の発表までに時間が開きましたが、その間に練られていたことというのは。
田坂 一番時間をかけて議論したのは物語作りに関してですね。そこが作品に一番大切なところなので。特に2年生というのは描くのが難しい時期で、1年生は始まりの物語として高揚感があり、新しい出会いや行事など新鮮な出来事が多くあります。また3年生は終わりの物語として、進路の決定があり、受験があり、卒業がある。しかし2年生というのは、特に大きな転機もないまま、ゆったりと時間が流れていってしまう。そこにどのような物語を与えるか、というところはだいぶ時間を割いて考えました。

ファンの熱意が生んだイベント

―― 1期から2期の間を繋ぐものとして公式イベントの充実ぶりも目を引きました。「ももねこ様祭」「たまゆら祭」「憧憬の路」「たまゆら進級イベント」と、舞台のモデルとなった広島県は竹原への聖地巡礼を含め、様々なイベントが盛りだくさんに詰め込まれていましたよね。
田坂 イベントを通じて『たまゆら』という作品を継続的に楽しんでもらいたいという想いは強くありました。また何より、ファンの皆様がイベントを楽しみにしてくださっていた。そうした熱気が感じ取れたからこそ、私たちももっと何かをやりたいと思ったし、竹原の街の方も積極的に盛り上げてくださいました。ファンの声を形にすることができたのも、そうした『たまゆら』へ寄せられた気持ちのうれしい繋がりがあったからこそだと思っています。
—— 竹原の街は、初めからそんなにも好意的だったのでしょうか。
田坂 やはり初めの頃はおっかなびっくりなところもありました。「『たまゆら』って何ですか?」「聖地巡礼って何ですか?」という方も少なくなくて……ただイベントを通じてファンの皆様と地元の方々との交流を繰り返す中で、自分たちの地元が舞台となったアニメとして認知してもらえ、内容に関しても一定の評価をいただけたと感じています。
—— イベントは今後も様々予定されているのでしょうか。
田坂 そうですね。すでに発表しているものだけでも、複製原画や絵コンテを展示した「たまゆらのひとコマ」展が、作中で志保美りほが写真展を行った蘭島閣美術館で9月9日まで開催中ですし、7月27日・28日には竹原で前回よりさらにグレードアップした「ももねこ様祭2013」を、また11月2日・3日にはこちらも竹原を中心に「たまゆらの日2013」を開催します。「たまゆらの日2013」は、ゲストに佐藤順一監督をはじめ、中島愛さん、中島ノブユキさん、marbleさん、また主要キャストの竹達彩奈さん、阿澄佳奈さん、井口裕香さん、儀武ゆう子さん、茅野愛衣さんらが勢揃いする集大成的な大きなイベントとなりますので、是非楽しみにしていてください。今発表されているもの以上に、街の中で楽しめる仕掛けなど、ファンの皆様に喜んでいただけるものを可能な限り盛り込んでいく予定です。
—— 東京近郊でも、またイベントがありましたら是非伺いたいところです。
田坂 どのタイミングになるかはまだ未定なのですが、東劇や横須賀でもまたイベントをやりたいですね。また、これはイベントではないのですが、7月16日から8月5日までファミリーマートさんとのコラボレーションで『たまゆら』ポスターが全国の店頭に出ます。新キャラクターも加えた5人が並ぶ、飯塚晴子さん描き下ろしのビジュアルのものですね。先日はサンフレッチェ広島とのコラボレーション記念イラストも公表しましたが、もっと広く『たまゆら』を知っていただくきっかけになればと、イベントやタイアップはこれからももっとやっていきたいと思っています。

—— 先日東劇でもいただいた、イベント毎にもらえる『たまゆら』シールも可愛らしかったですね……ただ35種類コンプリートするのは至難の業かと思いましたが(笑)。他にどちらで手に入るのでしょうか。
田坂 ももねこ様祭やたまゆらの日はもちろん、コミケなどでも配る予定です。ただ確かに、1人で集めるのはまず無理だとは思います(笑)。そこはファンの間で交換したりしていただければと。また今回のシールはスマートフォンアプリと連動していて、カメラをかざすことで画像をスマートフォンに取り込むことができるようになっています。なので実物はそろえられなくとも、他の方とシールを貸し借りし合うなどしてアプリ上でコンプリートしてみてほしいですね。
—— このシールには、ファン同士の交流を誘う面があるのですね。
田坂 そうですね。そのためのツールとして企画したところがあります。特に『たまゆら』はファンと地元と作品とが交流し合うことで成長できた作品だと思いますし、そうした部分はもっともっと深めていただけたらうれしいなと。
—— すでにbonet編集部ではシール集めへの協力体制ができつつあります(笑)。それでは最後に読者へのメッセージをお願いできますでしょうか。
田坂 楓やかなえの写真部がこれからどうなっていくのか、また楓と父親の関係がどう描かれていくのかという点は、是非注目していただきたいポイントですね。
 『hitotose』は各話で完結したエピソードが多かったですけど、今回の『もあぐれっしぶ』はエピソードが進むごとに想いが積み上がっていく構成になってますので、最後まで観てもらえるとより大きな感動に出会えると思います。後半は個人的にすごく好きな話が多いですし、ファンの期待も絶対に裏切らない出来になっていると思うので、最後まで楓の成長を見守ってください。そして、楓たちを3年生にしてあげたいので、是非皆様の応援をよろしくお願いいたします!
 

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