2014年06月18日(水)

Drawing with Wacom
CREATORS INTERVIEW 001
イラストレーター:KEI

初出日:2009年9月25日
インタビュー・構成:平岩真輔

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イラストレーター、漫画家、アニメーター、CGクリエイター、グラフィックデザイナー。様々なフィールドで活躍するクリエイターたちにとって、デジタルで創作を行う際に欠くことのできないアイテム「ペンタブレット」。デジタル作画の広がりとともに、ワコムのペンタブレットは世界中の数多くのクリエイターたちに選ばれてきました。
ワコムと梵天の共同企画であるDrawing with Wacom(DwW)では、ワコムのペンタブレットを手にした人気クリエイターたちの、ペンタブレットとの出会いから現在までを連続インタビューという形で紹介していきます。
インタビューの後には、ワコムの液晶ペンタブレットを使いサイン入りイラストを描いてもらう様子を動画で収録。メイキング動画はYouTubeワコムチャンネルで公開しています。

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イラストレーター

KEI

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結城充考『奇蹟の表現』(電撃文庫)のイラストでデビュー。サークル「KEI画廊」での同人活動と並行してライトノベルの挿絵イラスト等で活躍する中、2007年夏にクリプトン・フューチャー・メディア社の音声合成ソフト『VOCALOID2 CV01 初音ミク』のキャラクターデザインを手がけたことで広く注目を集める。その後も同シリーズの『CV02 鏡音リン・レン』『CV03 巡音ルカ』キャラクターデザインに加えて、ボーカロイド達が主人公となるメーカー非公式マンガ『初音みっくす』(ジャイブ刊/『月刊コミックラッシュ』連載/単行本全3巻発売中)の執筆や、PSP用ゲーム『Project DIVA―初音ミク』(セガ・エンタープライズ)パッケージイラストなどでボーカロイドのファンに話題を提供し続けている。2008年に発表された個人画集『KEI画廊』(BNN)も好評を得た他、舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』(新潮社)表紙イラストや、m.o.v.e.『anim.o.v.e 01』(エイベックス・エンタテインメント)CDジャケットイラストに起用されるなど、独特の雰囲気を持つキャラクターイラストで活躍の幅を広げている。

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dww001_KEI_pic1―― KEIさんがイラストレーターとしてのお仕事を始められたきっかけは?
コミケで同人誌を見てくれた編集さんに声をかけられて、ライトノベルの電撃文庫でイラストを描くことになりました。最初はひっそりとウェブで絵を発表していたのですが、『ビスケたん』ブームの頃に色々なサイトで紹介してもらったことも大きかったですね。

―― その頃の同人誌制作は、もうデジタル環境ですか?
2004年頃ですので、デジタルです。ペンタブレットはWindows95の頃にシリアル接続のArt Padを使い始めて、その後に出たArtpad Fanというやつも買いました。最初は、ツールもSuper KIDとか、スキャナにバンドルされていたPaintShop Proを使っていました。

―― ペンタブレット歴は長いですが、この10年間でペンタブレットの進化を手で感じることはありましたか?
シリアル接続の頃は、デバイスの競合で動かなくなったりして、マウスを外して全部ペンタブレットでPCを操作したこともあったので、挿すだけで動くUSB接続になった時は感動しましたね。
最初のArtPadとArtPad Fanは小さいサイズだったので、大きいサイズのintuos2を買ったときには、これで絵が上手くなるという錯覚をおぼえました(笑)。現在、発売されているIntuos4の描き味もすごくいいので、早く同じセンサーを搭載した液晶ペンタブレットがほしいです!

dww001_KEI_pic2―― 現在は液晶ペンタブレットのCintiq 21UXを使われているとのことですが、液晶ペンタブレットのメリットを感じられることはありますか。
画面と手先の描画領域の比率が1対1で作業できるのがいいなあと思います。エクスプレスパッドはオフにしていますが、それ以外はペンも芯も標準のものを使っています。Painterを使って描く時に、色を薄く伸ばしたり、なぞったりするのですが、ペンが柔らかいと色が出すぎちゃうので、筆圧の設定はわりと硬めにしています。描くための直接的な作業が、手とつながっている感じがするので、イラストレーターならCintiqを使うのがいいと思いますよ。直に描くことに慣れちゃうと戻れませんね。

―― 絵を描く上では、天野嘉孝さん、寺田克也さんの影響が大きかったとか。
天野さんはデジタルで描き始める前から、ファイナルファンタジーのイラストを見て「ああ、こういう表現もあるのか……」という感じで。寺田さんは画集『寺田克也全部』をたまたま本屋で見て、Painterっていうソフトはすごいんだなあって。『ペインタボン!』とか『ラクガキング』とか当時、寺田さんが出されていた本にノウハウが全部詰まっていたんですよね。読むと自分でもPainterが使いこなせるような気がしてPainter 6のアカデミック版を購入したら、「おかしい、こういう風に描けない!」と(笑)。

dww001_KEI_pic3―― 少し話は変わりますが、KEIさんといえば初音ミクのキャラクターデザインで知られていますけれども、その頃はどの様な環境で描かれていたんですか。
ミクを描いたのは、WindowsXPマシンで、Painter 9.5とPhotosop 7だったと思います。ペンタブレットはIntuos3にしたばかりだったかな……液晶ペンタブレットはまだ買ってなかったです。キャラクターデザインの場合、クライアントから「まず線画で1枚ラフを見せてください」と言われるんですけど、それが嫌でいまの塗り方にたどり着いたので、作業的にも難しかったですね(笑)。

―― KEIさんの描き方は、あまりレイヤーを分けずに塗り重ねていく独特の手法ですね。
陰影で描いたものに上から塗り足していく感じですね。ベースになるシルエットの上から、違う色を乗せていくような場合にはレイヤーも使います。赤系とか青系とか、色相ごとにレイヤーを用意して塗って、また統合してみたいな。
キャラクターをしっかりと描く場合は、線画をクリンナップして塗り分け毎にレイヤーにしていくという一般的な塗り方です。

dww001_KEI_pic4―― メイキング本も出されていますが、普通に線画から入って塗り分けていくやり方と違うので、なかなか真似ができませんよね。
よく言われます(笑)。色を伸ばして描きたくて、それができる筆をずっと探していたんです。Painterで落書き的に水彩ブラシでぼかして塗り重ねてと試行錯誤しているうちに「これなら描ける」と思ったんです。
塗る時は、はみ出してもいいんだと思いながらやってるんですよね。面倒くさがりなんで。作業的にレイヤーを作ったりしないで済む方法を探していた結果が、いまの塗り方になったんです。

―― 『月刊コミッラッシュ』で連載中のマンガ『初音みっくす』の原稿もデジタルで作業されているんですか?
ComicStudioですね。まだ慣れていない頃にはPhotoshopも併用していたんですけれど、トーンを貼ったり、マンガに必要なことは全部できるので、慣れてきたら一番楽だなと。つけペンやスクリーントーンを使って紙にマンガを描いたのは、中学高校の時に、ちょっとトライしてみたくらいですね。

dww001_KEI_pic5―― 月刊でマンガを連載するというのは、これまでなかったタイプのお仕事ですよね。
月の半分くらいはマンガの作業になるので、大変ですね。アシスタントというほどではないですけど、たまに知り合いに手伝ってもらう感じで、残りのスケジュールでカラーイラストの仕事をやっています。他にもマンガのお話を頂くこともあるんですけど、いまはまだ『初音みっくす』が続いているので、これが落ち着いたらオリジナルも描いてみたいなと。でも、マンガ家と名乗るのはちょっとおそれ多いので、あくまでイラストレーターとしてですけど(笑)。

―― 舞城王太郎さんの『ディスコ探偵水曜日』や、m.o.v.eの『anim.o.v.e 01』のジャケットなど、これまでとはまた違った感じで活躍の幅も広がっていますが、最近のお仕事としてはいかがですか?
『ディスコ探偵水曜日』は、新潮社の編集さんからメールで連絡を頂いて、「ハードカバーだ、厚い本だ」dww001_KEI_pic6と思いながら描きました(笑)。
ライトノベルもシリーズ物があまりないので、基本的にはどこの出版社とかレーベルとか偏らないで、色々やらせてもらってます。あとは『初音ミクベスト』のジャケットと『初音ミク Project DIVA』のパッケージを。
 
―― 初音ミクは2周年を迎えて盛り上がっていますが、ボーカロイドはKEIさんの元絵を離れて拡大していますよね。自分の描いたキャラクターがここまで広がっている状況はいかがですか。
意識としてはもう完全に自分のキャラじゃないですよね(笑)。
どこからか出てきた初音ミクというキャラクターがいて、自分もそれを描いてみた、みたいな。最初の頃は「あ、ここでも描いてくれてる」みたいに喜ぶことも多かったんですけど、いまはもう自分で認識できる範囲を超えてますから、実感が全くない感じです。

dww001_KEI_pic7―― イラストレーターKEIさんとしては今後、どういった方向性を目指していきたいですか?
よく聞かれるんですけど、いままでもやりたいことをやってきたので、このまま続けていけたらいいかなと。イラスト以外だとフィギュアのデザインとかもやってみたいですね。あと、ニコニコ動画やYouTubeで、これだけ色々な人が作ったものを見せられると、動画はやってみたくなりますよね。水彩っぽい感じを自分で動かせたらいいなと思うんですけど。

―― 最後に、KEIさんにとってワコムのペンタブレットはどのような存在ですか。
最初のArtPadから、もう10年使っているので、もしなくなったら絵が描けなくなるかも。ペンタブレットと出会わなかったら、多分ここにいることもなかったんじゃないかな。
 
 
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©Bonten/Wacom

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