2014年11月25日(火)

Drawing with Wacom
CREATORS INTERVIEW 043
マンガ家:大沖

取材日:2014年10月14日
取材場所:ワコム西新宿オフィス
インタビュー・構成:高瀬司

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イラストレーター、マンガ家、アニメーター、デジタルアーティスト、3Dモデラー、グラフィックデザイナー。様々なフィールドで活躍するクリエイターたちにとって、デジタルで創作を行う際に欠くことのできないアイテム「ペンタブレット」。デジタル作画の広がりとともに、ワコムのペンタブレットは世界中の数多くのクリエイターたちに選ばれてきました。
ワコムと梵天の共同企画であるDrawing with Wacom(DwW)では、ワコムのペンタブレットを手にした人気クリエイターたちの、ペンタブレットとの出会いから現在までを連続インタビューという形で紹介していきます。
インタビューの後には、ワコムの液晶ペンタブレットを使いサイン入りイラストを描いてもらう様子を動画で収録。メイキング動画はYouTubeワコムチャンネルで公開しています。

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マンガ家

大沖

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『まんがタイムきららキャラット』(芳文社)2007年8月号にて4コママンガ『はるみねーしょん』の読み切りが掲載、同誌2008年2月号より連載開始。かわいらしいキャラクターとシュールな笑いで人気を集める。ほかの作品に『オンラインマガジン コミックブレイド(comic-blade.jp)』(マッグガーデン)にて連載中の『ひらめきはつめちゃん』、『コミック電撃だいおうじ』(KADOKAWA)にて隔月連載中の『わくわくろっこモーション』がある。また、『けいおん!アンソロジーコミック』(芳文社)などアンソロジーコミックへの寄稿も多数。

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dww043_Daioki_pic1―― 絵を描き始めたのはいつごろからですか?
子供のころは落書きをしていたくらいで、絵やマンガの練習をしたことはありませんでした。ただ高校生のときにインターネットでお絵かき掲示板が流行り始めていたのを見て興味を持つようになり、マウスでギャグマンガ風のイラストを描き始めました。そのころは絵を描くためのソフトを持っておらず、お絵かき掲示板についている機能だけで仕上げていました。また今のような女の子キャラクターではなく、変な表情をしたおじさんキャラをよく描いていました。

―― 子供のころに好きだったマンガを教えてください。
『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』がとても好きでした。ゲームは持っていなかったのですが、マンガを通して『ドラゴンクエスト』シリーズにはまっていました。また、『4コマ劇場』に描かれている作家さんが多数活躍されていた、『月刊少年ギャグ王』という当時では珍しい少年向けのギャグマンガ専門雑誌をよく読んでいました。

―― マンガを描き始めたのはいつごろからですか?
大学1年生のときからです。大学入学後もお絵かき掲示板でイラストを描く習慣は続いていて、自分の絵に反応をもらえることがモチベーションに繋がっていました。そのためどうすればもっと反応をもらえるか考え始め、笑えるネタをいれればいいのではないかと、イラストの他にギャグマンガを描くようになりました。当時はキャラクターの性格設定もないまま、思いついた単発のアイデアをもとに4コマのマンガを描いていました。また同じ時期に、地元の広島で同人イベントにサークル参加するようになりました。

―― プロのマンガ家になった経緯を教えてください。
dww043_Daioki_pic2大学を卒業したときはマンガ家になろうという意識はまったくなく、情報学科だったためプログラマーとして東京の会社に就職しました。ただ社会人になってからも、同人誌の即売会に参加したり自作のホームページにオリジナルの4コママンガを載せたりと、マンガを描き続けていました。趣味として描いていただけだったのですが、就職して2年目のころに『まんがタイムきらら』編集部の方から、「ホームページのマンガがおもしろかったので何か描いてみませんか」とお誘いを受けました。その後ネームを描いてはボツになるというのを何度かくり返した末、のちに連載になる『はるみねーしょん』の読み切りを、『まんがタイムきららキャラット』2007年8月号に掲載いただきました。

―― どういうコンセプトで作られた作品でしょうか。
『はるみねーしょん』は雑誌のカラーに合わせるため、かわいらしい女の子キャラクターたちの会話をメインにした4コマのギャグマンガにしました。また主人公を宇宙人にすれば、突飛な行動や奇妙な発言が不自然ではなくなるうえ、会話のネタにバリエーションを持たせられると思い、はるみのキャラが生まれました。そしてはるみの発言に突っこみをいれるキャラと振り回されるキャラがいれば会話が展開できるだろうと思い、ユキと香樹が生まれました。

dww043_Daioki_pic3―― その後の活動を教えてください。
しばらくの間は会社に勤めながら『まんがタイムきららキャラット』で『はるみねーしょん』を連載していました。その後、マッグガーデンさんから『月刊コミックブレイド』での連載のお誘いをいただいたタイミングで会社を辞め、マンガ家に専念するようになりました。2本目の連載マンガ『ひらめきはつめちゃん』は 『はるみねーしょん』と違うスタイルのマンガにしようと思い、主な舞台を学校ではなく家庭にし、キャラクター同士の会話よりも行動を中心とした4コママンガにしました。

―― 連載のネタ出しはどういう手順で行っているのでしょうか。
まず最初にその回のテーマを決めて、その中で描けるネタを探していきます。たとえばテーマを「運動会」と決めたら、「運動会にはこんな競技がある」「休み時間にお弁当を食べる時間がある」というふうに、そのイベントに関連した出来事を書き出していきます。そしてそれぞれに関してどんなおもしろいネタが作れるかを考えます。その後「どのネタから始めるのか」「どのネタの後にどのネタが続くと効果的か」などを検討しながら、物語として自然な流れになるようにネタを並び替えていきます。順番が決まったら、それぞれのネタを元に4コマを描いていきます。
 
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―― 4コマ以外のマンガはいかがですか。
2010年に連載開始した『わくわくろっこモーション』は4コマではないショートギャグマンガですが、ネタ出しの方法はあまり変わっていません。ただ舞台を商店街にするなど、女の子キャラではなくおじさんキャラをたくさん登場させられる設定にしたため、これまでの作品のようなメインキャラクター同士のかけ合いではなく、毎回違うおじさんとのシチュエーションを中心にしたショートコントを作っているような感覚があります。
―― 大沖さん独特の絵柄はどのように生まれたのでしょうか。
手探りで描いていた『はるみねーしょん』の初期のころは、はるみが笑顔を浮かべてギャグを言うことも多かったのですが、連載2年目のころ、無表情で発言させたほうがおもしろいのではないかと思い、キャラの目も太い一本線で統一するようになりました。元々絵の描きこみを見てもらうより、ネタのおもしろさがストレートに伝わるようにしたいと思っていたため、それ以降は背景の描写まで含めdww043_Daioki_pic5シンプルな絵柄を突き詰めるようになりました。ただ、『はるみねーしょん』の扉ページイラストの背景に関しては、ここ2、3年、水木しげる先生のスタイルを意識して描きこみを増やしています。水木先生の特徴である「緻密に描きこまれた背景のうえにシンプルな線で描かれたキャラクターが乗る」という手法がおもしろいと思ったからです。そのため扉ページでは、自分で撮った風景写真を参考に描きこんだ背景のうえに、シンプルな絵柄のはるみを描くことが多いです。

―― 他にマンガを描くうえで工夫していることはありますか。
よく「\やべえ/」などの描き文字が特徴的だと言われるのですが、深く考えたうえで使っているわけではありません。マンガで使うようになったのは同人活動をしていたころからですが、昔から好きな表現だったらしく、小学生時代の絵日記を見返していたときにも似たような描き文字を発見しました(笑)。今は、吹き出しの中に「やべえ」と描くのと比べると深刻さが薄れ、深く考えずに発言しているように見えるところが気に入っています。吹き出しの中と外の両方に同じせりふを描くことも多いですが、せりふが重複している不思議さに魅力を感じたためです。そのため、はるみやはつめのような何を考えているのかわからない不思議なキャラを描くときによく使っています。

―― 大沖さんが影響を受けたマンガを教えてください。
dww043_Daioki_pic6一番はあずまきよひこ先生の『あずまんが大王』です。ギャグやキャラクターが魅力的なだけでなく、それらが相互作用を起こして高め合っているところに独特のおもしろさを感じました。またうすた京介先生の『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』を子ども時代にリアルタイムで読んでいたときは、今までにないギャグマンガのセンスだと感じました。マンガ作品以外では、お絵かき掲示板で交流していた方々からの影響が大きいです。『日常』のあらゐけいいち先生や『けいおん!』のかきふらい先生とは、お2人のデビュー前から仲良くしてもらっていたのですが、特にあらゐ先生はマンガ家としてだけではなく兄のような存在で未だに刺激を受けています。

―― マンガを描くときのツールを教えてください。
同人活動を始めたばかりのころはアナログだけで描いたこともあったのですが、徐々に線画まではアナログで描き、トーンや仕上げはComicWorksというソフトを使ってデジタルで行うようになりました。就職し上京してからは、ComicStudioを購入しすべての工程をデジタル化しました。現在は線画までComicStudioで行い、カラーが必要なときはSAIで彩色しています。マンガではなくカラーイラストの際は初めからSAIで描くこともあります。

dww043_Daioki_pic7―― ペンタブレットはいかがですか?
お絵かき掲示板で遊んでいた高校生のときに「FAVO」を買いました。大学生になってから「Intuos3」に買い替え、2009年から「Cintiq 21UX」をメインに使っています。板型のペンタブレットを使っていたときは気に入った線になるまで何度も引き直すことが多かったのですが、直感的に描ける液晶ペンタブレットにすることで迷うことなく線が引けるようになりました。そのためマンガやイラストを描くスピードがとても速くなりました。またサブツールとして「Cintiq Companion」も購入したのですが、手軽に持ち運べて場所を問わずに作業できるためとても役立っています。

―― 最後に、本日使われた「Cintiq 24HD touch」の感想を教えてください。
絵を描くときの姿勢をとてもスムーズに調整できると思いました。いつもは画面をよく見るために体を近づけてしまうのですが、ディスプレイが大きいおかげで視界全体に画面が入り無理のない姿勢で絵を描くことができました。また描いている絵だけに視線が向くことになるので集中力が高まりました。発色が鮮やかなことも魅力的で、紙面に印刷された後の色合いのイメージも持ちやすく自宅にもほしくなりました。
 
 
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©Bonten/Wacom

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