2015年04月27日(月)

Drawing with Wacom
CREATORS INTERVIEW 049
イラストレーター:たかくらかずき

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イラストレーター、マンガ家、アニメーター、デジタルアーティスト、3Dモデラー、グラフィックデザイナー。様々なフィールドで活躍するクリエイターたちにとって、デジタルで創作を行う際に欠くことのできないアイテム「ペンタブレット」。デジタル作画の広がりとともに、ワコムのペンタブレットは世界中の数多くのクリエイターたちに選ばれてきました。
ワコムと梵天の共同企画であるDrawing with Wacom(DwW)では、ワコムのペンタブレットを手にした人気クリエイターたちの、ペンタブレットとの出会いから現在までを連続インタビューという形で紹介していきます。
インタビューの後には、ワコムの液晶ペンタブレットを使いサイン入りイラストを描いてもらう様子を動画で収録。メイキング動画はYouTubeワコムチャンネルで公開しています。

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イラストレーター

たかくらかずき

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ドット絵を中心としたイラスト作品をはじめ、ミュージックビデオなどの映像ディレクション、舞台美術、アートディレクションと様々なジャンルをまたにかけ活躍している。主な作品に、上坂すみれ「パララックス・ビュー」ミュージックビデオのメインドッター、劇団・範宙遊泳「うまれてないからまだしねない」アートディレクション、オリジナルゲーム「たいないめぐり」グラフィックなど。

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―― たかくらさんが創作をはじめたきっかけを教えてください。
dww049_KazukiTAKAKURA_pic1小さいころからよくマンガを描いたり、工作をしたりしていました。とくに好きだったのは、『マリオペイント』というスーパーファミコンのお絵かきソフトや『Picno』というコナミの知育玩具コンピュータを使ったイラスト制作です。電飾など光るものが好きで、絵も紙に描くとの同じくらいディスプレイ上で描いていました。当時から今の作風に通じる不気味な要素のある怪獣などを好んで描いていました。

―― 本格的に絵を描きはじめたのはいつごろからですか?
美大をめざしてからです。高校に入ってから、テリー・ギリアムの映画やミシェル・ゴンドリーやスパイク・ジョーンズなどが作るミュージックビデオが好きになり、自分も映像の道に進みたいと思うようになりました。美術の先生のアドバイスもあり、絵の勉強に専念するため、通っていた高校を辞めて通信制の高校に入り直し、日中は美術予備校に通いました。

―― 大学時代の活動を教えてください。
東京造形大学の映画学科に入り、はじめは課題を中心に個人制作の実験映画をメインに制作していました。規模の大きな映像を撮りたかったのですが、スタッフを集める必要があり難しく、次第にひとりで自由に描ける絵に関心が移っていきました。そうして描きためた絵をラフォーレ原宿の1階にあるH.P.FRANCE Wallというギャラリーに持っていったところ、興味を持っていただき、個展を開催することになりました。Photoshopで制作した作品だけでなく、日本画材を使って描いたクリーチャーを展示したのですが、予想外に好評で、次にmograg garageというギャラリーでの個展も決まったので、そのときは今後もこの方向性で活動できるのではないかと思い大学院は日本画学科へ進みました。

―― 大学院ではどのような活動をしていましたか?
dww049_KazukiTAKAKURA_pic2学部の卒業制作で舞台美術的な作品を展示したのですが、それを範宙遊泳を主宰する山本卓卓(すぐる)が気に入ってくれ、公演のチラシを制作することになりました。それ以前は演劇に興味はなかったのですが、山本に誘われて快快などの公演へ足を運ぶうちに演劇に興味を持ち、範宙遊泳のビジュアルを担当するようになりました。最初のころは舞台美術や衣装を担当していたのですが、範宙遊泳が映像を活用した作風に変化してきたため、今は舞台に投影する映像制作や、劇団全体のアートディレクション、チラシやWebサイト、トークショーなどのコンテンツプランといった広報を担当しています。近作では2014年の公演「うまれてないからまだしねない」のアートディレクションが一番の自信作です。

―― イラストレーターの活動はいかがですか。
大学院卒業後は劇団の活動とバイトをしながら、個人制作で絵を描き続けていました。大きな転機は、映像作家の大月壮さんとの出会いです。大月さんがTwitterでドット絵を描ける作家を募集していたのに応募したのがきっかけで、事務所に通うようになりました。とはいえ、当時はまだドット絵が得意というほどではなく、スーパーファミコンなどのレトロなグラフィックが好きだったので、絵のなかにアクセントとして使うくらいでした。今のドット絵を中心とした作風は、大月さんとの仕事の中で鍛えられた部分が大きいです。

―― ドット絵のどこに魅力を感じますか?
いろいろありますが、ドット絵には日本画と通じる部分があると考えています。日本画は画材が粉なので、粒子というアナログ技法の最小単位を基準に考えるのですが、それをデジタル技法に置き換えるとドットという最小単位になるからです。ドット絵は細部を描けないので、自分の作風である不気味な要素がやわらぎ、かわいらしい見た目とうまく共存できるようになりました。

dww049_KazukiTAKAKURA_pic3―― ドット絵のお仕事を紹介してください。
映像作品では、大月さんがディレクションを務めた、上坂すみれさんの「パララックス・ビュー」のミュージックビデオで使ったドット絵が、とくに印象に残っている仕事です。地獄めぐりをコンセプトに、様々なゲームのパロディを盛りこんだ作品で、m7kenjiさん、ICHASUさんといった大月さんのドットクルーと分担しながら、チーフドッターとして7割ほどのドット絵を担当しました。やりがいがあったのはもちろん、作品の性質上、様々なレトロゲームのグラフィックを参照したため、ドット絵表現のバリエーションを学ぶこともできました。

―― 紙媒体でのお仕事はいかがですか?
『SWITCH』の「神ゲー100」特集号で、もふくちゃんと2人でグラビアを担当しました。見開きの上半分にはもふくちゃんがディレクションした「ゲームをするアーティスト」の写真を掲載し、下半分にはそこでプレイしているゲーム画面という設定で僕がグラフィックを担当しました。見開き7ページで、dww049_KazukiTAKAKURA_pic4ファミコン、スーパーファミコン、ゲームボーイ、PCゲーム、PlayStation、PSP、Wii Uと、順番に新しいゲーム機になっていく構成です。ハードごとに解像度が違うため、ドットの細かさや色使いなどの特色をどう表現するかに気を配りました。また、PlayStation以降は3DCGが必要になるため、A4Aのかとうみさとさんに外注し、その上にドットを打つことでゲーム画面の質感を出したり、トゥーンレンダリングをかけたようなタッチにするため手描きで3Dモデルをなぞったりと工夫を凝らしました。

―― たかくらさんが影響を受けたものを教えてください。
子どものころから読んでいた手塚治虫のマンガは、人と動物が合体した造形をかわいらしく描いたものが多く、クリーチャーが好きになる原体験になっていると思います。その後に触れた『ポケットモンスター』や『ムーミン』も、かわいらしいキャラクターを描く上で影響を受けています。最近の作品では、『Splatoon』というゲームが、イカと人間を混ぜあわせた3Dキャラクターが主人公で、とてもいいデザインだと思いました。また、『魔法少女まどか☆マギカ』やきゃりーぱみゅぱみゅの「つけまつける」のミュージックビデオのような、不気味さとかわいらしさを両立させた表現が浸透してきたことで、僕の仕事もやりやすくなったと感じています。
 
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―― たかくらさんがはじめてデジタルツールに触れたのはいつですか?
子ども時代の『マリオペイント』や『Picno』からはじまり、中学校のときにPhotoshopとムービーメーカーで簡単な動画を作るようになりました。高校のときにMacに買い替え、大学ではFinal CutとAfter Effectsで映像制作を行っていました。ペンタブレットを使うようになったのは大学時代です。「Intuos3」を購入し、映像にアニメーションを入れたいときに使っていました。

―― 現在お使いのペンタブレットはなんですか?
「Cintiq 13HD」です。板型のペンタブレットと違い、直接画面に描けるため直感的に操作できるところに魅力を感じています。とくにドット絵を制作するときは、本来マウスで打つものだったドットがアナログの感覚で打てるので、とても不思議な感覚でおもしろいです。またiMacとデュアルディスプレイにして使うことも多いです。たとえばロゴを作るときは、ソフトウェアを切り替えながら作業する必要があるのですが、目の高さにあるiMacのディスプレイでIllustratorを開き、手元にある「Cintiq 13HD」でPhotoshopを操作するといった使い分けをしています。

―― 今回「Cintiq 27QHD touch」を使ってみていかがですか?
画面が大きいのでドットがすごく打ちやすいです。普段は拡大・縮小を繰り返しながら描いていますが、「Cintiq 27QHD touch」dww049_KazukiTAKAKURA_pic6の大きさならキャラクターの全体像を表示させたまま細かい部分の調整ができるので、制作スピードも上がりそうです。今回はドットがメインの作品ですが、ストロークを多用する作品でも、よりアナログのキャンバスと近い感覚で描けるのではないかと思います。画面の発色がいいところも魅力的です。

―― 最後に今後の展望を教えてください。
ゲームやインタラクティブアートに携わってみたいです。カオス*ラウンジの「キャラクラッシュ!」展に展示した、RPGツクールで制作したオリジナルゲーム「たいないめぐり」は、山本が脚本を書き、僕はグラフィックの担当でしたが、今度は自分で企画から考えてみるのもいいなと思っています。
 
 
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©Bonten/Wacom