2015年10月26日(月)

Drawing with Wacom
CREATORS INTERVIEW 052
イラストレーター:植田亮

取材日:2015年9月25日
取材場所:ワコム西新宿オフィス
インタビュー・構成:梵天編集部

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イラストレーター、マンガ家、アニメーター、デジタルアーティスト、3Dモデラー、グラフィックデザイナー。様々なフィールドで活躍するクリエイターたちにとって、デジタルで創作を行う際に欠くことのできないアイテム「ペンタブレット」。デジタル作画の広がりとともに、ワコムのペンタブレットは世界中の数多くのクリエイターたちに選ばれてきました。
ワコムと梵天の共同企画であるDrawing with Wacom(DwW)では、ワコムのペンタブレットを手にした人気クリエイターたちの、ペンタブレットとの出会いから現在までを連続インタビューという形で紹介していきます。
インタビューの後には、ワコムの液晶ペンタブレットを使いサイン入りイラストを描いてもらう様子を動画で収録。メイキング動画はYouTubeワコムチャンネルで公開しています。

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イラストレーター

植田亮

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透き通るような美しい色彩と、可愛らしい少女のイラストを組み合わせた独自の世界観が広く知られている。顔となる『アリスと不思議な幻想世界』シリーズ(『不思議の国のアリス』からのインスパイア)の他に、ゲームの原画やライトノベルの挿絵でも活躍中。代表作に『さよならピアノソナタ』(電撃文庫)、『強くないままニューゲーム』(電撃文庫)、『最新のゲームは凄すぎだろ』(ヒーロー文庫)などがある。

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dww052_RyoUeda_pic『強くないままニューゲーム』―― 植田さんが絵を描くようになった経緯を教えてください。
小学生のころから『ドラえもん』『ドラゴンボール』『らんま1/2』といったマンガのキャラクターの落書きをよくしていましたが、真剣に絵を描くことに向き合い始めたのは中学生になったくらいの時期ですね。きっかけはアニメ『ロードス島戦記』などを通じて、イラストレーター兼アニメーターの結城信輝さんが描いた絵に出会ったことです。というのも、結城さんの作品には、これまで見たことのないような独特な色使いのカラーイラストが数多く描かれていたんです。それまで線画にそのまま着色をしたマンガ的でシンプルなイラストはたくさん見てきましたが、結城さんの作品にはそういったタイプのイラストとは全く異なった、絵の具による複雑な色合いやタッチがありました。

―― 結城さんの作品との出会いにより、絵の描き方に何か変化がありましたか。
絵の具を使ってきちんと着彩しはじめました。それまでは与えられたポスターカラーを特に深く考えずに使っていたんですが、結城さんの真似をしてリキテックスというアクリル絵の具を使ってみるようになりました。また、結城さんの作品との出会いによって視野が広がった結果なのか、貞本義行さんや田中久仁彦さんといった、色合いや仕上がりといった点で独特な個性を持つ作家さんを知ることができました。彼らの作品に触れる中で、人物のキャラクターを模写するのではなくオリジナルの絵を描いていきたい、そしてイラストを一枚の作品として完成させたいという気持ちが日に日に強くなっていきました。この気持ちがイラストレーターになりたいという思いにつながっていったように思えます。

――  アナログの画材を使って絵を描かれていた植田さんが、デジタル制作へと移行されたいきさつについてお伺いできますか。
dww052_RyoUeda_pic2014年カレンダー高校の頃に両親からFM TOWNSというパソコンを買ってもらえました。そのときにCG制作に挑戦したのがデジタルとの出会いですね。本格的にデジタルイラストを制作するようになったのは大学生の時、アルバイトをして貯めたお金でスキャナやペンタブレットといったデジタルデバイスを購入して制作環境に導入したあたりです。ArtPad Ⅱを購入したのですが、このデバイスの使い心地は非常に素晴らしく、アナログと同じようにペンを動かしながら使えるということに衝撃を受けました。その後は、ワコムからペンタブレットの新製品が出るたびに買い換えるような調子です。同じ時期にPhotoshopという優れたツールを導入できたこともあり、かなり理想的な形でデジタルイラスト制作に没頭することができました。

―― プロのイラストレーターとして活動できるようになるまでの経緯について教えていただけますでしょうか。
dww052_RyoUeda_pic『最新のゲームは凄すぎだろ』大学卒業後、ゲーム制作会社に入社し、数年間グラフィッカーをやりながら修行していたのですが、独立したいという気持ちもあり、様々な雑誌のイラストレーター募集にも応募し始めました。その中で『電撃G’s magazine』という雑誌に、挿絵やイメージカット枠でぽつぽつとイラストが採用されるようになったのが、イラストレーターとしてのキャリアの始まりだと思います。その後、勤めていた会社を退社して、『電撃G’s magazine』の作家さんのお手伝いをさせていただいたりしながら、地道に実績を積み上げ、家庭用ゲームの原画などを担当させていただけるようになったことで、イラストレーターとして徐々に認知されるようになりました。

―― イラストを制作する際に注意していることはありますか。
第1に色彩です。イラスト全体のトーンとして、どのような色を基調にするかを最初に決めた上で下書きを制作しています。もともと綺麗な色使いが好きだったこともあり、可能であれば色や塗り方で作品の醸し出す世界観を表現したいと思って制作に取り組んでいます。第2にキャラクターの表現です。キャラクターの表情や身振りというものも一種の色彩だと思うのですが、これをいきいきと描くことが魅力的なイラストには必要な要素であると考えています。

dww052_RyoUeda_pic『さよならピアノソナタ』―― 植田さんの画風は幻想的で透明感のある色彩に特徴がありますが、これはどのようにして生み出しているのでしょうか。
Painterというソフトを駆使して作り上げています。Painterの水彩機能は非常に独特で、色を塗り重ねているときに偶然生じる色合いがすごく魅力的なんです。2007年に『さよならピアノソナタ』というライトノベルの挿絵を担当した際に、この作品の爽やかな世界観をなんとか色彩で表現したい、と模索する中で、このソフトを本格的に使用するようになりました。水彩風のタッチをもともと好んでいたこともあり、ここで探求して生まれた手法が、現在の私の画風に繋がっていると思います。

―― 現在の制作環境について教えてください。
Windows8の入ったパソコンと、Cintiq 24HD、そしてIntuos ProのLargeサイズが基本的な使用デバイスです。Cintiq上でラフと線画の制作を行い、Intuosで着色を行うという使い分けです。もともと線画作成はアナログで行っていたのですが、4〜5年前に全てをデジタル環境上で行ってみたところうまくいったので、以後は全ての作業がデジタルで完結しています。着彩をIntuosで行っているのは、作業中に手で画面が隠れないので、画面を客観的に見られるからです。またソフトは、線画制作用にはCLIP STUDIO、ラフや基本的な着色にはPhotoshop、そして重要な色彩による着色にはPainter、という風な使い分けをしています。

dww052_RyoUeda_pic『OP-TICKET-GAME』―― 今回Cintiq 27QHD touchを使ってみていかがでしたでしょうか?
やはり画面内の狙ったところに直接線が引けるのはとても大きな強みです。板型ペンタブレットでは実際に表示させてみないと線を確認できないので、undoを繰り返すことがしばしばあります。線画をトレスするなどの作業の際に顕著ですが、一発で正しい線を引けることのありがたみには他に代えがたいものがあります。また、画面が大きいというのも非常に重要なことで、24inchよりも27inchの方が作業しやすいですね(笑)。

―― 最後に今後の展望を教えてください。
現在は小説の挿絵を中心に活動していますが、もともとゲーム業界でグラフィッカーや原画家としての仕事を担当してきたということもあり、最近は再び、自分の絵でゲームを一本作ってみたいと思っています。これはシナリオに関与したいという意味ではないのですが、自分の原画が作品の持つ世界観の出発点になるような仕事に携わりたいという気持ちがあるんです。すぐにはできないと思いますが、いずれまたそういう企画に取り組んでみたいです。
 
 
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©Bonten/Wacom

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