2015年12月25日(金)

Drawing with Wacom
CREATORS INTERVIEW 054
イラストレーター:悌太

取材日:2015年11月9日
取材場所:ワコム西新宿オフィス
インタビュー・構成:梵天編集部

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イラストレーター、マンガ家、アニメーター、デジタルアーティスト、3Dモデラー、グラフィックデザイナー。様々なフィールドで活躍するクリエイターたちにとって、デジタルで創作を行う際に欠くことのできないアイテム「ペンタブレット」。デジタル作画の広がりとともに、ワコムのペンタブレットは世界中の数多くのクリエイターたちに選ばれてきました。
ワコムと梵天の共同企画であるDrawing with Wacom(DwW)では、ワコムのペンタブレットを手にした人気クリエイターたちの、ペンタブレットとの出会いから現在までを連続インタビューという形で紹介していきます。
インタビューの後には、ワコムの液晶ペンタブレットを使いサイン入りイラストを描いてもらう様子を動画で収録。メイキング動画はYouTubeワコムチャンネルで公開しています。

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イラストレーター

悌太

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クールからキュートまで、あらゆる男子を美麗に表現することでファンから圧倒的な人気を博している、乙女系作品を中心に活動中のイラストレーター。 『NORN9 ノルン+ノネット』(アイディアファクトリー)、『十三支演義 ~偃月三国伝~』(アイディアファクトリー)、『いざ、出陣!恋戦』(QuinRose)などのゲームでキャラクターデザイン・メインイラストレーションを担当。ゲーム以外では『庚帝国物語 婚約者は略奪者!?』(一迅社文庫アイリス)装画や、ドラマCD『明治吸血奇譚』シリーズでのキャラクターイラストも。

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dww054_Teita_pic_ノルン+ノネット―― 悌太さんが絵を書くようになったのはいつごろですか。
幼稚園のころから『ちびまる子ちゃん』や『ドラえもん』などの落書きをよくしていました。小学生からは『なかよし』や『りぼん』などのマンガ雑誌をお小遣いで買って、模写の投稿をしていました。投稿した絵は雑誌に掲載していただくことがあり、そういう経験を繰り返すうちに、自然と絵を描く事が当たり前のような感覚になっていきました。最初は好きな漫画の模写が殆どだったものの、友人が漫画用の画材を学校に持ってきていたことに触発され、自分でも画材を揃えて色々試して描いてみるようになりました。友人と一緒に、交換日記のように漫画を描く事もありましたね。中学や高校では、年に一回の文化祭に合わせ、有志でオリジナルの同人誌を作って無料配布を行ったりしていたのですが、先輩のマンガ作品がとっても上手で、憧れていましたね。ノートを持っていって絵やサインを描いてもらったりもしました。(笑)

―― 何か絵の勉強はされていましたか。
中学入学くらいから、しっかりと絵画を学んでみたいという願望を持つようになり、中2くらいから絵画教室に通っていました。この教室では、物の観察の仕方や、最後まで制作を仕上げる持続力の重要性を学びました。絵の苦手な子どもは、なんとなくイメージで絵を描いてしまう傾向があるそうです。そうならないようにしっかりと対象を掴むことが大事なので、静物画や石膏デッサンを練習するだけではなく、粘土で立体物を作るカリキュラムも用意されていて、私もここで基礎を習いました。時には年下の子たちと一緒に工作をすることもあって、振り返ってみると子ども向けの触れ込みがされていた割に、幅広い美術教育を受けたという気がしますし、実際、高3の頃には、専門的な美大受験対策もしてもらえました。また、近隣の複合商業施設で年に一回行われる教室主催の展覧会に、自分の作品を展示してもらう機会があり、作品が色んな人に見られるということを意識する経験も積むことができたのではないかなと思います。

dww054_Teita_pic_百花百狼―― かなりしっかりとした絵の勉強をされていたようですが、コンテストなどに応募されたりはしましたか。
そんなに立派なものに応募した事はないのですが、高校生のときに文化祭のポスターのコンペティションに応募したことがあります。これは主に高2と高3の人が参加するもので、選考は全校生徒による投票で行われます。高3になってもうすぐ卒業も見えてきたので、折角だから記念に挑戦してみるかと思い立ち応募してみたところ、選んでいただけました。本当にうれしかったですね。選ばれるだけでも嬉しいのに、ポスターだけでなく、学校からのお便りやチラシ、それから記念のテレホンカードにまで自分の絵が掲載されたんです。それが本当に夢みたいで、絵を描く職業につきたいという気持ちをはっきりと自覚しました。高校卒業後、大学では広告について勉強していたのですが、この経験も志望をより強く意識することに繋がったのかなと思います。

―― 現在のお仕事でもある乙女ゲームに関わるようになった経緯を教えてください。
高校卒業くらいの時期に、同級生に『遙かなる時空の中で』というゲームを薦められたのが乙女ゲームを知ったきっかけですね。その後、「ネオロマンスシリーズ」に大ハマリしまして、この楽しさを知った状態で大学生活に突入してしまったので、いうなれば大学はオタク生活を邁進してしまったような感じです。乙女ゲームの新作が出れば、購入してプレイしていましたし、同じような趣味の友達と会話に花を咲かせたり、乙女系のアニメやマンガもたくさん見たり読んだりしました。同じく友人と個人的にキャラクターのイラストなども描いたりしていて、それもまた凄く楽しい思い出です。

―― そのままゲームのイラストレーターとして就職されたのでしょうか。
実は、最初は一般の企業に就職して営業として働いていたんです。ですが、絵で身を立てるという道を諦められず1年で転身しました。それができたのは、大学卒業前後から、営業の仕事と併行してプレイバイウェブにイラストを提供する仕事をしていたからなんです。プレイバイウェブというのは、ウェブ上でキャラクターを作って行うテーブルトークゲームです。dww054_Teita_pic_十三支演義もともとイラストがついているわけではないので、ユーザー向けに別途イラストを提供するサービスをゲーム会社が併設していたんです。私はそこにクリエイター登録をしていて、オーダーに応じてイラスト制作をしていました。そこでウェブに公開されているイラストを元にお声をかけていただいて、いくつかお仕事を請け負うようになり、現在のようにゲームのイラストレーターとして活動するようになりました。

―― イラストを制作する上で気をつけていることはありますか。
第一に描き分けですね。当たり前の事ですがキャラを差別化することは重要で、特に乙女ゲームのキャラクターは深く感情移入される対象であるとも考えているので、それぞれのキャラクターにしっかり個性をつけないと満足してもらえる絵にならないと思うんです。第二にディティールをしっかり描くこと。これを怠ると絵から説得力がなくなってしまいます。がむしゃらに仕事をしていると、うっかり細部を軽視してしまいがちになるので要注意だと考えていますし、両方とも私自身まだまだ勉強していかねばならないところだと思っています。それからこれは生活についてですが、しっかり寝てしっかり食べること。私は基本的に朝起きて夜寝るという生活スタイルなので、そのサイクルをできるだけ崩さないように努めています。私の場合、調子が崩れると絵にもそういうものが反映されたりするので、なるだけブレないようにということです(笑)。

―― デジタルでイラスト制作をするようになった経緯を教えてください。
dww054_Teita_pic_アブナイ恋の捜査室4乙女ゲームにハマったことがきっかけで、ゲーム中に登場するようなデジタルのイラストを描くことに興味を持ちました。大学入学時に、授業で必要だったので小さめのパソコンを買ってもらい、またペンタブレットは、当時販売していたFAVOを自分のお小遣いで購入しましたので、ちょうど環境も整ったんですよね。大学時代は個人的なイラスト制作に熱中し、卒業後は先ほどの話でもあったようにオーダーメイドの制作を皮切りにイラストの受注を始めまして、現場の仕事をこなしていく中で暗中模索して技術を身につけていきました。デジタルに習熟してくると初心者用のFAVOでは物足りなくなったので、Bambooに乗り換えました。本格的に仕事を始めてからは、全ての制作をデジタルでやるようになりましたね。

―― 現在はどのような制作環境なのでしょうか。
WindowsのパソコンとSAIが基本で、たまにCLIP STUDIO PAINTとPhotoshopを使っています。SAIを使うようになったきっかけはアイディアファクトリーさんからの指定があったからですが、その際にいただいたノウハウやテクスチャ素材などが非常に優れたもので、積極的にこの環境に順応した塗り方を模索していきました。ペンタブレットは、Bambooからさらに乗り換えまして、現在はIntuos4 Mediumを使っています。

―― 今回初めてCintiq 27QHD touchに触れてみた感想はいかがですか。
dww054_Teita_pic_Lenz〜桜の中に隠れた鳥〜液晶ペンタブレットを使ったことが今までなかったので、最初は少し難しさを感じました。私はずっと板型ペンタブレットを使っているので、画面に直接書けてしまうということに違和感を覚えてしまうんですよね。長い間アナログで絵を描いていないことの反動なんだろうなと思います。ただ一度慣れてしまえば、ペンでそのまま書くという作業も普通のことに感じられる気がしますし、実際、今回の撮影でも、作業していたらなんとなく慣れてきたように思えました。作業中に、Cintiqをデッサンキャンパスのように捉えることもあり、作業領域の広さを活用できるように感じました。逆に、アナログからデジタルに移行するのが不安という方にこそ入りやすいツールなのではと思います。

―― 最後に、今後の展望について教えてください。
やりたいこと、いっぱいあるんですよね。イラストとしては、今も作品ごとに塗りや絵柄を変える工夫をしていて、ゆくゆくは今と全く違うような絵にも挑戦してみたいです。また、絵の引き出しを広げるという狙いもありますが、個人的には、世界中をめぐってみたいと思っています。特に行きたいのはヨーロッパです。今の自分の中にある価値観や固定観念を180度変えてしまうような風景を見てみたいな、と。また宣伝で大変恐縮ですが(笑)もうすぐ『NORN9ノルン+ノネット』のアニメが始まります。みなさん、ぜひご覧くださいね。
 
 
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©Bonten/Wacom

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