2016年01月25日(月)

Drawing with Wacom
CREATORS INTERVIEW 055
イラストレーター:しまどりる

取材日:2015年12月9日
取材場所:ワコム西新宿オフィス
インタビュー・構成:梵天編集部

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イラストレーター、マンガ家、アニメーター、デジタルアーティスト、3Dモデラー、グラフィックデザイナー。様々なフィールドで活躍するクリエイターたちにとって、デジタルで創作を行う際に欠くことのできないアイテム「ペンタブレット」。デジタル作画の広がりとともに、ワコムのペンタブレットは世界中の数多くのクリエイターたちに選ばれてきました。
ワコムと梵天の共同企画であるDrawing with Wacom(DwW)では、ワコムのペンタブレットを手にした人気クリエイターたちの、ペンタブレットとの出会いから現在までを連続インタビューという形で紹介していきます。
インタビューの後には、ワコムの液晶ペンタブレットを使いサイン入りイラストを描いてもらう様子を動画で収録。メイキング動画はYouTubeワコムチャンネルで公開しています。

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イラストレーター

しまどりる

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油絵の手法をデジタルにとりいれた独特な厚塗りが魅力的な、新進気鋭のイラストレーター。旺盛な好奇心と探究心で、モチーフの東西を問わず様々なキャラクターを描き出している。処女作にして代表作に『RPFレッドドラゴン』(星海社)のイラスト・キャラクターデザインがあり、本作は『ケイオスドラゴン 赤竜戦役』としてアニメ化された。その他の仕事にゲーム『Fate/Grand Order』のカードイラストなどがある。

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―― しまどりるさんが美術に取り組むようになった経緯を教えてください。
DwW055_Simadoriru_pic01もともと工作的な遊びが好きな子どもだったんですが、高校受験の際にやりたいことを絞ることとなり、その結果として美術コースのある学校に入学したことが美術に本格的に取り組むことになったきっかけです。このコースでは、1年生の頃こそ普通の高校と同じような授業を受けるのですが、学年が進むと美術に特化したカリキュラムになっていきます。そして美術コースの学生はだいたい美術部に入りますので、最終的には朝から晩まで絵に取り組むような生活になりましたね。でも、この頃は授業も部活動もすごく楽しくて、それこそ夢中になって絵を描いていました。ありがたいことに、デザイン・彫刻・木炭デッサン・油絵・粘土・水彩、そしてアクリル絵具など、美術の基礎的な手法を一通り触らせてもらうことができました。自分の中で一番しっくりきたのは油絵だったのですが、そういう発見ができたのも色々な手法を学んだおかげでしょうね。

―― 卒業後美大に進学されたと伺っておりますが、そちらでも油絵に取り組まれたのでしょうか。
都内にある美大の油画科に進学しました。……ただ、いざ入学してみると、美術史や芸術理論を重要視するアカデミックな雰囲気が肌に合わず、そんなに熱心には授業に取り組みませんでした。むしろ、自分の興味が「絵を描く」という行為そのものにあることに気づかされたんです。だから、「楽しく絵を描きましょう」というテーマのゼミに入りました。このゼミでは、高校の頃には扱わなかった岩絵具や金箔などの画材を使うことができて楽しかったですね。とはいえ、全体として大学での活動ではあまり目立ったものはなかったと思います。

DwW055_Simadoriru_pic02―― それでは大学以外では何か活動されていましたか。
大学3年生頃に、講談社が主催していた「西島大介のひらめき☆マンガ学校」という企画に参加したことが、人生の大きな転機になっています。これは、手探りでマンガ家という職業についた西島大介さんの経験をもとに、新しいマンガ家を育成しようという企画でした。この企画を知ったのは雑誌の告知記事からだったんですが、そこにマンガ家の今日マチ子さんが登場していたんです。そこで今日さんが「自分の作品って他の人の作品とはちょっと違うかも」と思っている人に、「西島大介のひらめき☆マンガ学校」に参加してほしいということを仰っていて、そのコメントが自分に対して凄く刺さりました。美大にこそ通ってはいましたが、マンガやCGにも興味があったので同人活動みたいなこともしていました。ただ、どうにも満足のいくものにならないんです。そういう活動の中で、やりたいこととやっていることがかみ合わないような、そういうくすぶった感じが自分の中に渦巻いてしまっていて、そういう気持ちをこの企画が受け止めてくれるような気がしたんです。

―― 「ひらめき☆マンガ学校」では何を得られたのでしょうか。
DwW055_Simadoriru_pic03この企画では専門学校みたいなことをするわけではなく、むしろ「マンガ」や「マンガ家」といった概念をどれくらい広げることができるかという実験企画だったんですよ。だから内容を一言で語るのは難しいんですが、僕にとっての人生のターニングポイントとなる出来事がありました。マンガ雑誌の編集部に作品を持ち込みするという課題があったのですが、僕は既存のマンガ雑誌に興味がなかったので、尊敬していた小説家の奈須きのこさんに原稿を送ったんです。そのことがきっかけで、奈須さんの担当編集者だった太田克史さんと縁ができて、彼からの発注で『レッドドラゴン』という企画のイラスト担当になりました。この企画が自分のデビュー作になるのですが、後に『ケイオスドラゴン 赤竜戦役』という形で、ゲームになったりアニメになったりと様々に派生した関係で、現在も継続的に取り組ませていただいています。

―― デジタル環境で制作するようになった経緯を教えていただけますか。
高校入学を機にパソコンとPhotoshop、それからIntuos2を親に買ってもらいました。もともとオタクコンテンツが大好きだったので、よく友達といっしょにパソコンのゲームで遊んでいたんです。それが高じて同人活動などをするようにもなり、同人誌やウェブサイトでのイラスト制作をデジタルで行っていました。特に力を入れたのが「東方Project」の同人活動でしたが、このジャンルの同人作家さんはみんな熱意にあふれていて、自分も相当刺激を受けました。

―― デジタルで制作するときに気をつけていることはありますか。
デジタルで制作するからといって、絵の描き方を自分の中ではっきり切り替えようとしない、ということです。たとえば僕は、イラストに直接ハッチング(画面に平行線を書き込むこと)を入れたりしますが、これは美大受験の際に覚えた技術なんです。バケツツールで色を塗ってしまうのではなく、DwW055_Simadoriru_pic04こういう手間がかかるやり方に魅力を覚えるんですよね。あるいは、あえてundoで作業を戻すのではなく、アナログの画材を扱うように上から塗りつぶして修正したりしています。こういう作業を重ねると絵に独特の味わいが出るんですよ。こんな風に、アナログで学んだ技術を取り入れることによって、デジタルの制作でも独自性を持って制作できるように感じます。

―― 現在の制作環境について教えてください。
Windows 7のパソコンとSAIが基本です。特にSAIについては、2006年のリリース当初に導入していて、それ以来ずっと使っています。タブレットは、Intuos2、Intuos3 Mediumと使ってきて、現在はIntuos3 Extra Largeを使用しています。たまにPhotoshopを利用して仕上げなどを行うこともありますが、基本的にはSAIだけで作業を完結させています。

DwW055_Simadoriru_pic05―― 今回Cintiq 27QHD touchを使ってみた感想はいかがですか?
とにかく画面が大きいのがいいですね。僕はアナログでキャンバスをいじっていた経験があるので、手を大きく動かして描くのが好きなんですが、そういう動きを受け止めてもらった気がします。また発色が綺麗なところもポイントですね。ファンクションキーも画面の周りではなく、リモコン型になっていて、 見た目にもスマートだと思いました。普段は板型ペンタブレットを使っているので、液晶ペンタブレットはうまく扱えないのではないかと少し不安でしたが、むしろ使いやすくて驚きました。逆に板型に戻ったときに違和感を覚えてしまったほどです(笑)。ゆくゆくは個人用にも液晶ペンタブレットを導入したいですね。

―― 最後に今後の展望を教えてください。
『ケイオスドラゴン』に関わらせていただいたおかげで、小説・アニメ・ボードゲーム・コンシューマ・スマホゲームと、非常に幅広いメディアの仕事を経験することができました。このおかげで様々な発見と学びを得られたのですが、同時に、イラストやデザインが関わる領域というものが非常に広いことを知りました。ですので、今後も好奇心を失わずに、さらに多様な仕事に取り組んでいきたいと思っています。
 
 
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©Bonten/Wacom

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