2013年09月03日(火)

アニメの門 THE LIVE
イベントレポート

レポート:草見沢繁

アニメの門 THE LIVE「総点検! ここがヘンだよ!?
クール・ジャパン」イベントレポート

 
「bonet」でアニメ時評「四代目 アニメの門」を連載中のアニメ評論家・藤津亮太氏が配信する、メールマガジンとニコニコ生放送からなるアニメ情報メディア「アニメの門チャンネル」。その初のイベントとなる「アニメの門 THE LIVE 総点検! ここがヘンだよ!? クール・ジャパン」が、8月23日に新宿ロフトプラスワンで開催された。
 
イベントには、過去に「アニメの門」生放送に出演した国際大学GLOCOM客員研究員の境真良氏、ジャーナリストのまつもとあつし氏に加え、慶應義塾大学SFC研究所上席所員の三原龍太郎氏も登壇。「クール・ジャパン政策の中身が見えにくい」という藤津氏の一言を嚆矢に、行政やメディアなどゲストそれぞれの視点から、クール・ジャパン政策に関する意見が語られた。
 
クール・ジャパン政策と言うと一般に、日本発コンテンツの海外市場でのシェア獲得や、日本のライフスタイルの浸透などが期待されているが、三原氏が示したのは、官庁の意識としてはあくまでそれらの「後押し」であり、コンテンツ輸出の支援の側にあるということ。それを受けて壇上では、国の事業を受託するのではなく、コンテンツ産業側がやりたいことに国の予算を使うといった発想の転換の必要性が語られた。
 
つづいて、「クール・ジャパンに関わる省庁の間で概念の一致がなされていない」という意見が境氏から飛び出した。ビジネス支援であるはずのクール・ジャパン政策が「日本はカッコいい」といったイメージ発信にすりかわっており、行政によるミスリードになっていると指摘。さらに、クール・ジャパン以前にも車やバイクなど日本製品の輸出を支援する政策はあったという話題に移り、それらの政策と現在のクール・ジャパン政策とを対比させメリット・デメリットを洗い出す流れに。
 
まつもと氏は「自国のソフトパワーを軽視していた以前とは違い、現在では日本のコンテンツにソフトパワーがあることははっきりした」ものの、「海賊版などによってその利益はコンテンツ産業には入ってこない」と指摘。これには登壇者全員が同意し、ライセンスを含む諸問題を健全化することもクール・ジャパン政策が担うべきではないかという意見も出た。
 
具体的に実現しようとするにあたって過去の反省が生かしきれていない部分もあるという話を受けて、「クール・ジャパン」という名前が悪いのでは、といったそもそも論に話が及ぶと、客席からは苦笑に近い笑い声が。「クール」=「カッコいい」ではなく、日本のコンテンツの他の特徴である「カワイイ」や「エロ」をも網羅できるような言葉にすべきだといった話題で盛り上がった。
 
批判的な意見が議論のほとんどを占めていたものの、最後には「クール・ジャパンにはしかし、コンテンツ業界の党派性を超えた連携が望める」とした上で「消費者も乗組員となってコントロールしようという思いを持つようになってほしい」といった今後の希望が語られた。
 
イベント終了後に藤津氏は「面白おかしいイベントはオタク大賞があるので、「アニメの門」イベントはもう少し真面目な切り口でアニメをはじめとしたコンテンツについて考えていきたいです」と話し、年1回のペースででもイベントを再び開催したいと語った。
 

 

アニメの門 THE LIVE
「総点検! ここがヘンだよ!? クール・ジャパン」開催概要

 
日時:8月23日(金)19:00~(18:30開場)
場所:新宿ロフトプラスワン
【司会】
 藤津亮太(アニメ評論家/りょっぴー)
【ゲスト】
 境真良(国際大学GLOCOM客員研究員)
 まつもとあつし(ジャーナリスト)
 三原龍太郎(慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問))
 

 

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